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神仏像の鑑定

先日、天神社に掃除に行くと、ご住職が大黒天御尊像を撮影していました。

私は若い頃より日本人形の研究をしており、興味を持って年代や特徴をお話ししました。

他の神仏像も観て欲しいと頼まれ、御本堂で大黒天様、恵比寿様、鍾馗様を拝ませていただきました。

 

大黒様、恵比寿様共に、おそらく関西で作られ、時代は江戸前期の終わりからと中期の始まりの間で1700年代と思われます。

 

大黒様は室町時代の御尊像は、お顔がふくよかでなく、肩から担いだ袋ももっと細く彫られています。

右手は拳印(槌握り)で、打ち出の小槌を持ち、俵に乗るようになる過渡期です。のちに槌握り→小槌に変わったわけです。

中期の始まりには、丸顔で頭巾も大きくなってきます。

ひな人形がふくよかでなかった時代です。武神から福神となる過程の厳しい表情をしています。

 

恵比寿様は、お厨子に二つの異なる家紋が描かれています。おそらく武家の嫁入り道具なのでしょう。

作ったのも武家と思われます。お顔は厳しい表情をしています。

タイに乗るのは、まだ後の時期です。

諏訪信仰の可能性があります。

 

鍾馗様は、おそらく江戸の後期に関西で彫られた庶民用です。1800年代でしょう。色彩が施されていたようです。

似たような木彫の鍾馗様を見たことがあります。

明治になると魔除けの五月人形として作られるようになりました。

 

同じ時代の大黒様が阿弥陀堂にも祀られています。

阿弥陀堂は接待所にもなっています。

お堂はほとんど毎日開いていますので、お参りしてはいかがですが。

 

「日本人形のあゆみ」

以前私が著した本です。